コラム No.152注目される「社會(huì)的インパクト不動(dòng)産」とは?
公開日:2024/03/29
人々の暮らしや企業(yè)の経済活動(dòng)に欠かせない不動(dòng)産ですが、時(shí)間の経過(guò)とともにその価値は低減していく傾向にあります。不動(dòng)産の永続的な価値の向上を目指し、社會(huì)に対して一定の効果や変化をもたらす「社會(huì)的インパクト不動(dòng)産」がいま、注目を集めています。
社會(huì)的効果を生む不動(dòng)産
國(guó)土交通省によると、わが國(guó)で金融を除く法人が保有する総資産の約4分の1は不動(dòng)産で、その価値は約624兆円といわれています。不動(dòng)産は私たちの暮らしや仕事、地域社會(huì)さらには地球環(huán)境と密接な関わりを持っており、現(xiàn)代社會(huì)が抱える広範(fàn)で多様な課題の解決に貢獻(xiàn)することができると見られています。E(地球環(huán)境)やS(社會(huì)的諸課題)、G(企業(yè)統(tǒng)治)の3要素は、いまやさまざまな社會(huì)活動(dòng)の中で重要視すべきものと捉えられ、不動(dòng)産も例外ではありません。
それどころか、ESGを無(wú)視した不動(dòng)産開発は競(jìng)爭(zhēng)からの離脫を意味します。そうした狀況の中、人や地域、地球における諸問(wèn)題への解決に取り組み、不動(dòng)産の価値向上と企業(yè)の持続的な成長(zhǎng)に資する不動(dòng)産を「社會(huì)的インパクト不動(dòng)産」と呼んでいます。この場(chǎng)合の「インパクト」は、社會(huì)に対して一定の成果や効果、または変化をもたらすことと解釈することができるでしょう。
たとえば、最新鋭の防災(zāi)?耐震機(jī)能を有するオフィスビルや、創(chuàng)業(yè)間もないスタートアップ企業(yè)の支援のためのスペースを設(shè)けたテナント、人材育成や食育のために使用される設(shè)備がある事業(yè)所など、その対象は広範(fàn)囲にわたっています。ただ、多くの事例があるにもかかわらず、広く普及して言えるとはいえない現(xiàn)狀があります。その背景には、不動(dòng)産が社會(huì)的価値の向上に役立つとの認(rèn)識(shí)が広がっていないこと、またその価値が不動(dòng)産の価値として必ずしも認(rèn)知されていないことなどが挙げられています。
普及しない背景にはまた、評(píng)価軸の問(wèn)題がある、との指摘があります。日常生活において、わたしたちは不動(dòng)産に対してことさら意識(shí)することはありません。文字どおり「インパクトが強(qiáng)い不動(dòng)産だ」と感じるのは、建物が外面的に奇抜だったり、珍しかったりする場(chǎng)合に限られているのではないでしょうか。近年は認(rèn)証制度なども出てきていますが、「グッドデザイン賞に輝いた商品だ」といわれるような、人々に広く知られた不動(dòng)産の社會(huì)的な評(píng)価基準(zhǔn)が認(rèn)知されていないことも、普及を妨げている要因のひとつかもしれません。
2つの対話、「資金対話」と「事業(yè)対話」
社會(huì)的インパクト不動(dòng)産を普及させるには、企業(yè)と投資家および金融機(jī)関、企業(yè)と利用者?地域社會(huì)という構(gòu)図の中で「対話」が生まれるべきである、と國(guó)交省の「不動(dòng)産分野の社會(huì)的課題に対応するESG投資促進(jìn)検討會(huì)」は指摘しています。不動(dòng)産の価値を高めるには相応の資金が必要です。資金を出す側(cè)は、ESGの貢獻(xiàn)度が高い不動(dòng)産への投融資は自らの評(píng)価も高めることから、資金の使い方を巡って不動(dòng)産の開発主體との間で意見交換することが欠かせません(資金対話)。
一方、不動(dòng)産開発の主體は、地域社會(huì)や住民などの利活用者や地域の行政を擔(dān)う自治體などからの要望?要請(qǐng)を吸い上げて社會(huì)的インパクトを具現(xiàn)化するための話し合いが不可欠です(事業(yè)會(huì)話)。
図:「社會(huì)的インパクト不動(dòng)産」に係る2つの対話

出典:國(guó)土交通省「『社會(huì)的インパクト不動(dòng)産』の実踐ガイダンス」(ダイジェスト版 2023年3月24日)
ちなみにこの「資金対話」はESG投資における「インパクト投融資」に該當(dāng)するもので、特定の社會(huì)問(wèn)題や環(huán)境問(wèn)題などの解決を目指す事業(yè)に投資する手法です。日本國(guó)內(nèi)では減少傾向にあるといわれ、ESG評(píng)価と財(cái)務(wù)評(píng)価を組み合わせて総合的に評(píng)価する「ESGインテグレーション」がわが國(guó)や米國(guó)、EUで近年のトレンドになっています。
社會(huì)的インパクト不動(dòng)産の評(píng)価軸には、CASBEE(建築環(huán)境総合性能評(píng)価システム)などの認(rèn)証制度があります。テナントオフィスなどの居住性や快適性は、不動(dòng)産とその賃料に相関関係があるといわれ、CASBEEにもそうしたデータが蓄積されているといわれています。しかし社會(huì)的な課題に対する評(píng)価は一部の視點(diǎn)にとどまっており、今後の評(píng)価項(xiàng)目に組み込むことが期待されています。
今に生きる「三方良し」の教え
わが國(guó)では、近江商人による「三方よし」に代表される、伝統(tǒng)的な経営理念、事業(yè)哲學(xué)があります?!笁婴晔证摔瑜?、買い手によし、世間によし」は、売り手も買い手もともに満足することができ、社會(huì)にも役に立つのが良い商売道であるとの心得を説いたものです。わが國(guó)では、企業(yè)の成長(zhǎng)と地域社會(huì)を両立させる考え方が古くから浸透しています。
政府は2022年、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計(jì)畫」の中で、官民ともに主體的に課題解決に取り組み、経済成長(zhǎng)や國(guó)民の持続的な幸福を?qū)g現(xiàn)することを示しました。社會(huì)的インパクト不動(dòng)産は、こうした動(dòng)きにも合致するものです。ただ、不動(dòng)産は一つとして同じものはなく、地域性や用途などの観點(diǎn)から定義付や一般化が難しいものが少なくありません。前述した「資金対話」「事業(yè)対話」を深掘りしていく過(guò)程で、対話の「共通言語(yǔ)」となる社會(huì)的インパクト評(píng)価の枠組みが求められます。



