コラム vol.252-1借地借家オーナーのための法律講座第1回 土地の所有権、借地権、底地権の解説
公開(kāi)日:2018/09/19
POINT!
?底地権とは法律的な用語(yǔ)ではなく、借地権に対応して地主が有する権利のこと
?土地活用の手法はさまざまで、メリット、デメリットがあるので、総合的に判斷する
土地を所有されているオーナー様が當(dāng)該土地を活用して第三者から収入を得るためには、第三者に土地自體を貸すか、土地に自ら賃貸住宅を建築して、これを第三者に貸すことが考えられます。また、手許資金を活用して、不動(dòng)産投資を行おうと思っている人は、更地を購(gòu)入して賃貸住宅を自ら建築するか、土地を借りて賃貸住宅を自ら建築するか、いずれが得策か検討しなければなりません。
それぞれのメリット?デメリット等について紹介します。
その前に、土地活用の基本知識(shí)として、土地の所有権、借地権、底地権について、説明します。
所有権
- 所有権とは、物を自由に使用?収益?処分する権利をいいます。土地の所有権を持っている所有者は、當(dāng)該土地を自由に使用し、第三者に賃貸することにより収益を上げることができ、第三者に売卻することができます。
もっとも、土地の所有者であれば、何でも自由に土地を使用収益できるかといえば、そうではなく、法律によって、種々制限が加えられています。例えば、都市計(jì)畫(huà)法により開(kāi)発行為に一定の制限が加えられていたり、農(nóng)地であれば農(nóng)地法が適用されたり、土地の利用処分につき一定の制限が加えられたりしています。
一つの物を複數(shù)の所有者で所有する場(chǎng)合の権利狀態(tài)を共有といいます。各共有者は、共有物に対して共有持分(所有権の割合)を有するのですが、共有持分自體の処分は原則自由に行えます。しかし、共有物自體の利用、処分等は、必ずしも共有者単獨(dú)で行うことはできず、共有者全員の同意、または過(guò)半數(shù)の共有持分者の同意が必要になります。
つまり、土地を共有しているような場(chǎng)合には、土地の所有権は、共有関係に基づき一定の制約を受けることになります。
借地権
- 土地を利用する権利としては、主に使用貸借契約による使用借権、賃貸借契約による賃借権、地上権設(shè)定契約による地上権が挙げられます。
使用借権は、対象物の利用の対価が発生せず、一般的には地主との間に親族関係など、何か特別な人的関係がある場(chǎng)合に利用されるもので、通常の不動(dòng)産取引においてはまず利用されることはありません。
賃借権は、使用借権と異なり、利用の対価として賃料を支払う必要があり、使用借権よりも法律による保護(hù)が手厚くなっています。
地上権は、賃借権と異なり、所有権に近い性質(zhì)を有する権利です。賃借権よりも強(qiáng)い権利が認(rèn)められており、地上権の譲渡は原則自由にでき、その権利の存続期間も、一般的には賃借権より長(zhǎng)期に及びます。地上権においては、利用の対価である地代は必ずしも必要ではなく、無(wú)償の地上権設(shè)定も可能とされています。
土地の使用借権及び賃借権は、特に目的が定められていませんので、建物を所有する、しないは制限されていません。
一方、地上権については、法律で工作物や竹木を所有することを目的としなければならないとされていますので、こちらも建物所有を目的としない地上権設(shè)定が可能となっています。
広義の意味での借地権とは、上記までの権利を包括していいますが、法律用語(yǔ)としての借地権とは、建物所有を目的とする賃借権と地上権に限られており、世間一般で借地権といえば、通常はこの法律用語(yǔ)での借地権を指しています。
借地権については、平成4年7月31日以前に既に発生している場(chǎng)合には、借地法(一般的には「舊借地法」といわれています)が適用され、その後に契約が更新されている限り、舊借地法が適用されます。
これに対して、平成4年8月1日以降に発生した借地権については、借地借家法が適用されることになります。その結(jié)果、借地権に対して適用される法律が時(shí)期によって異なり、存続期間や更新後の存続期間なども異なりますので、注意が必要です。
舊借地法、借地借家法のいずれが適用されるにしても、借地権者はこれらの法律により保護(hù)され、地主であっても簡(jiǎn)単に借地権を消滅させることはできません。
なお、一般的には、借地権として設(shè)定される権利は建物所有目的の賃借権が多く、地上権は、分譲用マンションの敷地とする場(chǎng)合などに限られることが多いようです。
底地権
底地権という言葉を、よく耳にするかもしれませんが、これは法律的な用語(yǔ)ではありません。一般的には、借地権を設(shè)定した土地に関して、借地権者が有する借地権に対応して、地主が有する権利を底地権といっているようです。
底地権とは、土地の所有権から、借地権分の権利及び価値を控除した殘りの権利、価値を指しています。土地の完全な所有者であれば、自由に土地を利用することができ、また、完全な価格で売卻することができますが、當(dāng)該土地に借地権を設(shè)定した場(chǎng)合、借地権設(shè)定によって、土地の利用が制限されます。また、土地を処分する場(chǎng)合にも、借地権付の土地として、負(fù)擔(dān)付の土地となりますので、その分土地の価値も減殺されることになります。住宅地では一般的には60%~ 70%程度とされています。
土地活用におけるメリット?デメリット
すでに土地を所有されているオーナー様が土地を活用しようとした場(chǎng)合、當(dāng)該土地に借地権を設(shè)定する場(chǎng)合と、自ら賃貸住宅を建設(shè)する場(chǎng)合とで、オーナー様にとってのメリット?デメリットを比較します(概要1、概要2)。なお、稅務(wù)効果の具體的內(nèi)容や相違點(diǎn)は、前提條件や時(shí)期によっても異なります。
(概要1)借地権を設(shè)定する場(chǎng)合のメリット?デメリット
- ●メリット
- ?安定した地代収入が見(jiàn)込める
- ?建物建築などをする必要がないので、初期投資が不要
- ?土地の固定資産稅などは負(fù)擔(dān)しなければならないものの、建物管理などのコストは不要
- ?固定資産稅、相続稅などについて一定の稅務(wù)効果がある
- ●デメリット
- ?地代収入は収益率が低い
- ?借地権の解消が困難であり、土地利用を希望しても困難
- ?底地権のみとなり、売卻が困難又は価値が下がる
- ?借地人との人間関係上のトラブル
(概要2)自ら賃貸住宅を建築し、土地を引き続き所有する場(chǎng)合のメリット?デメリット
- ●メリット
- ?引き続き土地の所有権を保有
- ?土地?建物の一括売卻が可能
- ?將來(lái)の土地の自己利用が容易(一般的に、借地権の消滅より、借家権の消滅のほうがハードルが低い)
- ?地代に比して、家賃収入の方が収益率が高い
- ?固定資産稅、相続稅などについて一定の稅務(wù)効果がある
- ●デメリット
- ?建物建築のための初期投資が必要
- ?空室リスク
- ?建物管理コストや賃貸管理コストの負(fù)擔(dān)
次に、オーナー様において、新たな不動(dòng)産投資を行う場(chǎng)合に、更地を購(gòu)入して賃貸住宅を建設(shè)する場(chǎng)合と、借地権の設(shè)定を受けて、賃貸住宅を建設(shè)する場(chǎng)合とで、そのメリット?デメリットについて比較したいと思います(概要3、概要4)。
(概要3) 更地を購(gòu)入して賃貸住宅を建設(shè)する場(chǎng)合のメリット?デメリット
- ●メリット
- ?完全な土地所有権を取得
- ?土地?建物の一括売卻が可能
- ?銀行から融資を受けやすい
- ?建物の増改築などは自由にできる
- ●デメリット
- ?土地の取得対価が高額となる
- ?土地の不動(dòng)産取得稅、登記費(fèi)用の負(fù)擔(dān)
- ?継続的な土地の固定資産稅などの負(fù)擔(dān)
(概要4)借地権の設(shè)定を受けて賃貸住宅を建設(shè)する場(chǎng)合のメリット?デメリット
- ●メリット
- ?土地の取得対価、不動(dòng)産取得稅、登記費(fèi)用がかからず、初期費(fèi)用を抑えることができる
- ?土地の固定資産稅などがかからない
- ?借地借家法による保護(hù)を受け、継続的に借地権が存続する見(jiàn)込みがある
- ●デメリット
- ?継続的に地代を負(fù)擔(dān)し、更新料も発生し得る
- ?銀行の融資が受けづらい
- ?地主との関係に配慮する必要がある
- ?建物の増改築には地主の承諾が原則必要である
- ?借地権付建物の売卻には地主の承諾が必要であり、売卻が難しく、市場(chǎng)価値も減少する
- ?狀況によっては借地権が消滅する
それぞれ一長(zhǎng)一短ありますが、判斷のポイントとしては、(1)手許初期費(fèi)用原資の有無(wú)、(2)今後の土地利用の見(jiàn)込み、(3)不動(dòng)産自體の場(chǎng)所的要素、賃貸需要、想定利回り、(4)稅務(wù)効果、(5)関係者の人間性、などが挙げられ、これらの事情を総合考慮して慎重に検討するべきです。例えば、稅務(wù)効果だけに著目して判斷した場(chǎng)合、事後思わぬトラブルに遭うことをよく聞きますので、必ず、その後想定される事情を総合的に判斷することが重要です。














