コラム vol.523

イベントレポート　賃貸住宅経営　秋の一斉実例見學會（関東會場）

公開日：2024/09/30

2024年9月、賃貸住宅の秋の一斉実例見學會が開催されました。この見學會は、実際に建てられた賃貸住宅をご自身の目で確認することで、ご入居者に選ばれる賃貸住宅を建てるためのポイントをご理解いただける、參加型のイベントです。
見學會は全國各地で開催されましたが、ここでは関東の2つの會場をご紹介します。

【東京都杉並區和泉會場】
等価交換によって、建物のバリューアップが実現。資産の分割も明確に

建て替え前、土地は法人、建物は個人の所有でした。建物は2棟あり、1棟は自宅兼店舗、もう1棟は別法人が所有し倉庫として使用されていました。建物が築古となり、立地的にも有効活用を望める土地であったため、最初は建て替えを望まれていましたが様々な課題があり、大和ハウス工業は、等価交換による建て替えを提案しました。

不動産の等価交換とは、土地の所有者は土地を提供し、開発業者は建設費用を負擔。建物が完成したら、土地オーナーの出資分だけ、土地や建物の一部を所有するという方法です。その際に、出資分と土地や建物の価値を同じにして交換するため、等価交換と呼ばれます。
土地を保有している場合、その土地に賃貸住宅を建て、自ら賃貸住宅経営を行うことが一般的な方法と言えますが、土地の所有者が土地を提供し、開発業者などが建築費を負擔する「等価交換方式」で賃貸住宅経営を行うことも可能です。
今回の実例では、大和ハウス工業が法人とオーナー様から土地と2棟の建物を購入し、建て替えを行い、1階と最上階の1部屋、土地の一部を、等価交換として法人様、個人オーナー様の所有となりました。

図：等価交換イメージ図

本実例は、東京メトロ丸ノ內線「方南町」駅から徒歩6分、環狀七號線沿いに位置している、交通利便性の高い賃貸住宅です。設計にあたっては、立地的にも単身者の住居ニーズが多いと判斷できたため、RC造で、居室は約40m²1LDKと25m²1DKの2タイプとしました。今回の計畫を始めた當初から、地域のニーズに合った、需要が見込める面積帯を設定いたしました。

等価交換は、建築資金のご負擔なく土地活用ができるため、自己資金が少なく借り入れが難しい、権利関係が複雑といった理由で土地活用に悩んでいる方に効果的な方法です。
等価交換の仕組みを活用することで、相続時にやむを得ず不動産が共有となってしまっていたり、昔から借地となっている土地に建物が建っていたり、権利関係が複雑な不動産であっても、それぞれのオーナーが満足できるかたちで資産を分割できる可能性が高くなります。不動産の権利関係に悩まれている方は、等価交換のスキームを検討するのも一案ではないでしょうか。

【さいたま市緑區大門會場】
生産緑地からの用途変更で、収益を生む土地活用が実現

さいたま市緑區大門會場で紹介されていたのは、3階建て、全室2LDK（約60m²）の「TORISIA（トリシア）」です。
オーナー様は先祖代々生産緑地として不動産を保有していましたが、相続により生産緑地だった農地を受け継いだ後、農業を続けることはできないと判斷し、用途変更して賃貸住宅を建築することを決意されました。さいたま市周辺は生産緑地が多く殘る地域ですが、代替わりをきっかけに、農業が続けることが難しくなり、生産緑地を解除する例が見られます。
本賃貸住宅においても、オーナー様は2022年8月に、生産緑地を解除し、1棟目となる5階建て25世帯のRCづくりのマンションをすでに建築。本賃貸住宅は2棟目となりました。1棟目の建築に著手した後、オーナー様もいったんは生産緑地として継続保留していましたが、昨今の資材高騰を受け、「待っていることが逆にリスクになる」という考えから、1棟目と同時並行で建てることを決意。將來は3棟目も計畫されています。

ZEH-Mと充実の設備で、エコで快適な暮らしを実現

本賃貸住宅はZEH-M（ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス?マンション）仕様で、BELSマークを取得しています。ZEH-Mとは、太陽光発電の設置や斷熱性能の向上などにより、住戸全體で消費するエネルギー量をほぼゼロにすることを目指したマンション（賃貸住宅）で、快適な住環境を保ちながら光熱費を抑え、環境負荷も減らすことができる環境にやさしい住まいです。
さらに、ALSOKホームセキュリティを導入し、24時間365日、ご入居者の皆様に安心の暮らしを提供します。
外観はTORISIAでは珍しいダークトーンで統一された、シックで重厚感のある佇まいとなるように設計。室內は裝飾を控え、シンプルさを大切にしながら、室內物干しや浴室換気乾燥機等を設置し、快適で機能的な住環境を提供します。オーナー様が女性であることから、とくに水回りには主婦目線の細やかな工夫を施しました。引き渡し前から入居の申込みがあるなど、上々の反響をいただいています。